人生という壮大な旅路の終着点――それは誰にとっても避けて通れないもの。その重大イベントにむけて備える「エンディングノート」の必要性がここ数年注目されています。この言葉を耳にしたことがあるけれど、実際にはどんなものかピンとこない…そんな方は、まだまだ少なくはないのではないでしょうか。
私は、エンディングノートとは、自分の「これから」の想いをご家族や大切な人へ伝えるための、心の手紙のような存在だと思っております。それは人生の最期に向けて、自分の望みや伝えたいことを整理し記しておくことで、身近な人たちへの優しい心遣いにつながると感じるからです。
これからの人生をより豊かに、自分らしく締めくくるために「エンディングノート」がなぜ大切なのか?どんなことを書けば良いのか?そして作成時のポイントや注意点はどこか?一緒に考えてみませんか。貴重な5分間をこの記事に費やしていただくことで、ご家族とご自身が心穏やかに過ごすことができれば、この上ない私の幸せです。
それでは、まずエンディングノート作成の意義について考えていきましょう。
「自分の意思を伝える大切さ」
ご自身の人生の終わりが訪れとき、自分がどんな医療を望むのか、どんな葬儀にしてほしいのか、遺しておきたいメッセージがあるのか…。これらをきちんと書き残しておくことで、家族や大切な人々が抱えることになる不必要な悩み、迷いそして争いごとを未然に防ぐことができるのではないでしょうか。何よりも自分の気持ちをしっかり伝えることが、大切な最後の贈りものとなるはずです。
「家族への負担軽減」
もしご自身が急に体調が悪くなったり、認知症が進んだりしたとき、ご家族は様々な決断を迫られることになります。その際になにも決まっていない場合、その負担は想像以上に大きくなってしまいます。この時エンディングノートがあれば、ご家族はあなたの希望を知ることができるだけではなく、精神的にも経済的にもかなりの負担から解放されることになるでしょう。
「人生の整理としての効果」
エンディングノートは「人生の終わりのためだけのもの」ではなく、今までの人生を振り返り、達成したことや感謝したいことを書き出すことで、自分自身と向き合う時間にもなります。これが心を落ち着け、前向きな気持ちを育むきっかけになるのではないでしょうか。
つぎにエンディングノートに含める主な項目について考えていきましょう。
エンディングノートに書くことは自由ですが、特に大切なポイントについて、具体的にピックアップしていきたいと思います。
「個人情報(住所、連絡先、保険情報など)」
これらの情報は、遺された家族が手続きを進める際に非常に役立ちます。
・現在の住所、連絡先
・銀行口座情報やクレジットカードの詳細
・生命保険や医療保険の契約内容と連絡先
・公的な書類の保管場所(年金手帳、戸籍謄本など)etc.
「財産・資産情報」
分かりやすくまとめておくことで、相続のトラブルを減らせます。
・自宅や土地の場所と権利関係
・預貯金の状況
・有価証券や保険の内容
・借入金や債務があればその詳細もetc.
「医療・介護の希望」
こうした希望を伝えておくと、病院や介護施設での対応がスムーズになります。
・もしもの時の延命治療の希望
・かかりつけ医の情報
・介護サービスの利用希望
・生活の質をどう保ちたいかの気持ちetc.
「葬儀や埋葬に関する希望」
自分らしい最後の時間を演出するためにも、できるだけ具体的に書いておくことがのぞましいと思います。
・葬儀の形式や場所
・お気に入りの音楽や詩
・遺影に使いたい写真
・散骨や納骨の方法など特別な希望etc.
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「その他伝えたいメッセージ」
心のこもった言葉は、何よりもかけがえのない財産になります。
・家族や友人へ向けた感謝の言葉
・遺言や今後の生活についてのアドバイス
・大切にしてほしい家族のルールや思い出etc.
そして一番大切なこと、作成にあたり留意すべき点を考えていきましょう。
「定期的な更新の重要性」
内外の環境やご自身の感情は時間と共に変わっていくことが考えられます。書いたら終わりではなく、定期的に見直し、自分の現状や気持ちに合わせるかたちでアップデートしていきましょう。
「法的効力との関係性」
エンディングノートは、遺言書のように法的な効力は基本的にありません。したがって、財産の分配など法律に関わることは、必ず公正証書遺言や自筆証書遺言と併せて専門家に相談することをおすすめいたします。
「ご家族やご関係者との共有方法」
エンディングノートの存在や内容を誰にも知らせなければ意味がありません。ご家族、信頼できるご友人、またはかかりつけ医などに作成したことを伝え、保管場所も共有しておくことが大切です。
「書き方のポイント」
ポイントを押さえることで明確な意思を記すことと、紙媒体だけではなく、デジタルデータとして保存しておくことも効果的なのではないでしょうか。
・書きやすい専用のノートや市販のエンディングノートキットを活用する。
・シンプルな言葉で、心を込めてわかりやすく書く。
・ネガティブな表現よりも前向きな気持ちや感謝の気持ちを中心にetc.
繰り返しになりますが、エンディングノートは、ご自身の人生の最後に向けた「大切な心のメッセージ」です。自分の意思を明確にし、ご家族のご負担を軽くするのみならず、充実した人生の振り返りとしてもきっとお役に立つことでしょう。
書く内容は、個人情報から医療の希望、葬儀の手配、そして家族への想いまで多岐にわたりますが、一つずつ丁寧に整理していくことで、「もしもの時」の安心を手に入れることができると私は確信しております。
最後に、人生の終わりを見つめることで、今をより大切に生きられる――エンディングノートは、そんなあたたかな未来への一歩になること。そして、定期的な見直しとご家族と共有することで、ご自身にとっての「最後の想い」が、しっかりと後世に受け継がれていくことを願ってやみません。
お付き合いいただきありがとうございました。記事について、ご不明点等ございましたら、お問い合わせページよりご連絡ください。よろしくお願いいたします。



